もっと出かけたい!を叶える。渋谷でおこなわれた「May ii」体験交流会をレポート
今回、「May ii」の利用エリアである渋谷にて、アプリが出て間もない「May ii」を一般の方々に実際に利用していただき、感想や意見を交わし合う体験交流会を実施いたしました。
ベビーカー利用者、車いす利用者、杖利用者、聴覚障害者、日本経済大学の学生、渋谷道玄坂商店街の方、渋谷に不慣れな方・詳しい方など、様々な方々に交流会にご参加ご協力いただきました。
本記事では、アプリの使いやすさはもちろん、手助けを通して、
・移動困難な方のお出かけ意欲が上がるのか?
・サポーターは人助けのハードルが下がるのか?
・アプリがあることで渋谷の印象はどう変わるか?
について、利用者の生の声をお届けいたします。
【目次】
渋谷での「ちょっと困った」を実際にサポート
体験交流会にご参加いただいた方々は、お互いに顔合わせをしないようそれぞれリクエスト側とサポート側に分かれて別の場所に集合。まずは渋谷の「May ii」対応エリアで実際にアプリを利用してもらいます。
駅前のSHIBUYA TSUTAYAにいるこちらのベビーカー利用の女性は、どうやら渋谷ヒカリエへの行き方が分からない様子。
さっそく「May ii」に困りごとリストから「目的地への行き方がわからない」を選択すると、別の場所で待機していたサポーターの一人とマッチングします。
対面の際に分かりやすいよう、今日の自分の服装や目印となる小物の特徴を登録。サポーターが駆けつけてくれるのを、不安の入り混じった表情で待ちます。
すると…正面からスマホを手にした女性の方がやってきました!
お互いに笑顔で「May ii」を利用していることを確認。無事マッチングした人と対面できたようです。
お二人はそのまま楽しそうに会話をしながら渋谷ヒカリエへ移動。最後まで笑顔で案内を終えました。
この他にご参加いただいた組においても、アプリでマッチングした相手と対面できた瞬間のホッとした表情や、手助けを通して交わす会話など、コミュニケーションが生み出す温かいシーンが印象的でした。
利用者の声から見えてきた「May ii」の可能性
このあとリクエスト側とサポート側の方々には、実際に「May ii」を利用してみてどのような印象を受けたか、また、このアプリを通して自分や街に対してどのような変化があると思うかについて、意見を交わしていただきました。
「相手との距離が分かる安心感」
「May ii」の一番の肝となるのがマッチング。
スムーズなマッチングを実現するために、アプリでは自分の服装や小物など目印となるものを設定できるうえ、GPSでの位置情報共有によって相手との距離感や近づいてくる様子が確認できます。
「動いたら分からなくなると思ったので、自分はじっとして待っていました。でも、相手の方との距離や来る方向までGPSで確認することができたので、すぐに『あ、あの方だ』と分かりましたね」(ベビーカー利用者)
また、「May iiカラーカード」機能では、画面一面に目立つ色を表示できるため、お互いがアプリ利用者であることの確認をすることができます。
「周りに同じ年代の人が多かったので、相手を見つけるのにすごく迷いましたが、カラーカードを見せてもらえたので無事に相手を確認できました。もしその機能がなかったら困っていたと思います」(聴覚障害者)
「アプリを通すことで手助けに安心感が生まれる」
街で困っている人を見かけても、「本当に困っているのかな」「断られたらどうしよう」といった不安から、手を差し伸べる勇気が出なかったという経験がある人は多いはず。私たちは見知らぬ人へ声をかけることをためらってしまいがちですよね。
サポート側として参加した商店街の方は、そんな中で助けてもらいたい人と助けてあげたい人にとって、「May ii」が信頼の証となるかもしれないと語りました。
「今は昔と違って『荷物持ちましょうか?』という申し出も、安全ではないと思って断られてしまうかもしれない時代。でも、アプリでお願いごとをしてもらえれば、助ける側としても勇気を持って声をかけなくてすむので、お手伝いがしやすいです」(渋谷に詳しい方)
「自分がやりたかったことを諦めずにすむかもしれない」
リクエスト側として参加した聴覚障害者は、これまでふらっと寄り道した不慣れな場所で、自分のしたいことが何もできなかった経験が多くあるといいます。
「店員さんの話していることが聞き取れず、愛想笑いをして帰ってしまうんです。だからといって友達にお願いするのも、何だか介助人として同行してもらっているみたいで申し訳ない」(聴覚障害者)
そんなこちらの女性は、「May ii」が広まることで「寄り道は増えると思います。スタバでカスタマイズ注文をしてみたいです」と、今まで行けなかった場所・できなかったことが実現するかもしれないことを語ってくれました。
「ベビーカーでも萎縮しない安心感を感じる街に」
実際に渋谷という街で「May ii」を体験してみることで、皆さんの地域に対する印象にも変化がありました。
「『渋谷=冷たい』というイメージがあったんですけど、商店街などのもともと渋谷に住んでいる方の中には、優しい人がたくさんいらっしゃるんです。そういう意味で、今回アプリを通して地域の温かみを感じることができました」(大学生)
「急には難しいとは思いますが、『May ii』がきっかけとなって、渋谷は怖い場所なんかじゃないんだよっていうイメージが浸透することを願っています。このアプリにはその可能性を感じましたね」(商店街の方)
「『May ii』があればもう少し気軽に渋谷に来られそうだと思いました。一人でベビーカーを押している状況って、すごく大変で緊張するんです。道に迷ったときスマホ片手に1人で頑張るよりも、隣に人がいて誘導してくれるだけで助かります」(ベビーカー利用者)
「坂や人が多く、普段渋谷には来ません。人の雰囲気も、急いでる感じがします。そんな渋谷だからこそ『May ii』が当たり前に使えるようになれば、すごく助かりますね。そうすれば友人にも勧められる場所に変わると思います」(車いす利用者)
「渋谷はもともと田舎で下町だったんです。人情あふれるいい街でした。今は良い意味でも悪い意味でも大きく変化してしまって、未曾有。『May ii』で様々な人たちと心を通わせることができれば、昔の温かみのある渋谷の街のすがたを取り戻すことができるんじゃないかと思いますね」(商店街の方)
「May ii」でコミュニケーションが生み出す温かい街を目指す
今回の体験交流会を通して、リクエスト側とサポート側どちらにとっても、『May ii』を利用することで周囲の見知らぬ人に声をかけることへのハードルが下がるということが分かりました。
ただ、表面上のイメージからは分からない渋谷の温かみを感じた一方で、街自体に目を向けると坂や段差、ガタガタした道が多く、移動困難者にとってやさしいとはいえないという声も。
「May ii」の利用を促進し浸透させることで、こうした生活者の声を拾うことができれば、住む人にもお出かけする人にも愛されるような、よりよいまちづくりの一助になりうると感じました。
「May ii」は人と人をつなぎし、手助けを通した新しいコミュニケーションを生み出すことでよりよい社会を目指してまいります。
交流会を通して得た、アプリの使いにくい部分や課題は今後改善していく予定です。DNPでは今後も様々な地域イベントに出展し、「May ii」利用エリアを拡大予定です。イベント情報については、本WEBサイトで随時更新いたしますので、ぜひご確認ください。